AIコーディング 2026.05.05

AIで1セッション製品化:STRATEGY.mdとLLMコントラクト設計の実装手順

タグ:AI開発 / LLM活用 / ワークフロー / 効率化

このやり方で何ができるか

新しい製品やアプリケーションを作ろうとするとき、通常は複数のセッションにわたってAIと対話を重ねることになります。しかし適切な設計ツールを用意すれば、たった1回のセッションで企画から実装、テストまで完成させることができます。

このワークフローの核となるのが「STRATEGY.md」というファイルです。これは単なるドキュメントではなく、生成AIとの対話を効率的に進めるための「契約書」として機能します。AIエージェントが従うべき戦略や制約をあらかじめ明文化することで、ぶれのない開発が可能になるのです。

さらにこのワークフローでは、コンテキスト(やり取りの履歴情報)を50~87%削減する手法や、自分の失敗から学んで改善するエージェント設計も組み合わせます。その結果、1セッションでも大規模な製品化が実現できるようになります。

準備するもの

必須アイテム

  1. テキストエディタ(VSCodeなど)

    • STRATEGY.mdファイルを記述するために使用します
    • 複数ファイルを同時管理できるものが便利です
  2. ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AI

    • 対話型のセッションが必要です
    • 1セッション内で継続的にやり取りできる仕様のサービス
  3. 実装環境(Python、JavaScript など)

    • 実際にコードを走らせてテストするため
  4. プロジェクト管理ツール(任意)

    • Notionやスプレッドシートでタスク追跡
    • 必須ではありませんが、複雑な製品の場合は便利です

所要時間の目安:準備全体で30分~1時間

手順

ステップ1:STRATEGY.mdを作成する(15~20分)

まず、プロジェクトの根幹となるSTRATEGY.mdファイルを書きます。これは「AIに何をしてほしいか」を明確に指示する設計書です。

ファイルには以下の項目を含めます:

・プロジェクト概要 何を作るのか、目的は何かを1~2段落で記す

・成功の定義 「完成」とはどの状態か、具体的な達成基準を書く 例:「JSONレスポンスの検証エラー率が1%以下」「ユーザー登録完了までが3ステップ以内」

・技術スタック 使う言語、フレームワーク、ライブラリを明記 例:「フロントエンド:React 18、バックエンド:Node.js + Express」

・制約条件 避けるべき実装方法、パフォーマンス要件、セキュリティ要件 例:「外部APIの呼び出しは最大3回まで」「ユーザーデータは暗号化必須」

・AIエージェントへの指示 段階的に何をすべきか、優先順位を番号付きで記す 例:

  1. コア機能(データ入出力)の実装
  2. エラーハンドリングの追加
  3. テストケースの作成
  4. ドキュメント整備

この構造にすることで、AIが迷わず目的地に向かって進むようになります。

ステップ2:LLMコントラクトとしてSTRATEGY.mdをAIに渡す(5~10分)

作成したSTRATEGY.mdをまるごとAIのセッションに貼り付けます。冒頭で「以下のSTRATEGY.mdに従いながら進めてください」と指示します。

AIの返答時には、「今からステップ1に取り組みます」「ステップ1が完了しました。ステップ2に進みます」というように、進捗をSTRATEGY.mdに紐付ける形で報告させるのが効果的です。

このやり方だと、セッションの途中で会話が脇道に逸れたときも、すぐにSTRATEGY.mdを参照して軌道修正できます。

ステップ3:コンテキスト削減で効率化する(セッション内で継続的に)

長いセッションが続くと、やり取りの履歴がどんどん膨れ上がり、AIの処理が遅くなったり回答の質が落ちたりします。これを防ぐため、定期的に「遅延発見」を組み込みます。

具体的には、セッションの進行中に以下を心がけます:

・不要な過去の会話は削除する 「昨日のこの部分は今もう確認済みなので省きます」と宣言して、古い会話ログを削除

・結果だけを保持する 「ここまでの実装内容は以下のコードで完了」として、確定したコードだけを残す

・中間成果物は統約する 何度も修正した途中経過ではなく、最終版のファイル内容だけAIに提示

このような工夫により、コンテキストサイズを50~87%削減できることが報告されています。結果として、セッションが長くなってもAIの集中力を保ったまま開発を続けられます。

ステップ4:自己改善パイプラインを組み込む(セッション内で反復)

1セッションで完成品を目指すなら、試行錯誤のループを組織的に設計する必要があります。

手順は以下の通りです:

  1. 実装 → テスト AIが書いたコードを実行して動作確認

  2. 失敗の記録 エラーメッセージやバグを詳しくAIに報告 「××という入力でエラーが出た。エラーメッセージは△△」という具体的なログを提示

  3. AIによる分析と修正 エラー内容から原因をAIに推測させ、コード修正案を提示させる

  4. 再テスト 修正内容をすぐに実装して動作確認

  5. パターン化 同じような失敗が繰り返された場合、AIに「この種のミスを事前に防ぐチェックリストを作ってください」と指示

このループを回すことで、セッションの後半になるほどAIは学習し、ミスが減っていきます。結果として、1セッションで製品レベルの品質に到達できるわけです。

ステップ5:最終確認と納品準備(セッション終盤、30~45分)

セッションの終わりが近づいたら、最終チェックを厳格に行います。

・機能テスト STRATEGY.mdの「成功の定義」に書いたすべての項目が満たされているか確認

・エラーハンドリング 想定外の入力に対してシステムが落ちないか試す

・ドキュメント整備 コードのコメント、使い方ガイド、環境セットアップ手順が揃っているか確認

・パフォーマンス測定 必要に応じて、処理速度やメモリ使用量を計測

すべてクリアしたら、実装コード、設定ファイル、ドキュメントをまとめて一つのパッケージにします。

所要時間の目安:全ステップを通じて1セッション(4~6時間を想定)

つまずきやすいところ

STRATEGY.mdが曖昧すぎる

最初のステップで「〇〇のような機能を作りたい」というざっくりした指示だけだと、AIが迷います。具体的には、「ユーザーが何をできるようになるのか」「データの形式は何か」「どのくらいの速さが必要か」といった細部まで落とし込むことが重要です。

修正のコツ:STRATEGY.mdを作った直後にAIに「このSTRATEGY.mdに不足している情報や曖昧な部分があれば指摘してください」と聞くと、改善点が見つかりやすいです。

セッション途中でAIの回答がぶれる

開発が進むと、AIが以前の判断と矛盾したコードを提案することがあります。これはSTRATEGY.mdの「制約条件」が不十分な場合に起きやすいです。

修正のコツ:矛盾が見つかったら、即座に「このような判断は△△に反しているので、別の方法で実装してください」とSTRATEGY.mdを参照しながら指摘します。

コンテキストが膨れすぎてセッション終了時間に達する

セッションの終了時間制限に引っかかると、せっかくの開発が未完成のまま終わってしまいます。

修正のコツ:ステップ3の「コンテキスト削減」を、セッションの序盤から意識的に実行することが防止策になります。特に、テストで失敗した途中経過は即座に削除し、成功した最終版だけを保持する習慣をつけます。

テストで予期しないバグが出続ける

自己改善パイプラインを回していても、バグが減らない場合があります。これは通常、AIのテスト方法が不十分な場合です。

修正のコツ:「以下の入力パターンすべてでテストしてください」と、網羅的なテストケース例を提示します。例えば、入力フォームなら「空欄」「数字のみ」「特殊文字」「超長テキスト」などです。

慣れてきたら試したいこと

複数のAIエージェントを連携させる

1つのセッションでなく、異なるAIサービス(ChatGPTはデザイン、Claudeはバックエンドコードといったように)を役割分担させて同時進行させると、さらに効率が上がります。この場合、STRATEGY.mdは全員が参照する共通の「契約書」として機能します。

STRATEGY.mdをテンプレート化する

何度も製品を作るようになったら、業種や規模ごとに「STRATEGY.mdテンプレート」を用意しておくと、毎回の作成時間が短縮できます。

失敗パターンの蓄積

何度も開発を重ねる中で出てくる「このような指示だと失敗しやすい」というパターンを、STRATEGY.mdのチェックリストに組み込むと、以降の開発がより滑らかになります。

製品完成後の改善サイクル

1セッションで完成品ができたら、その後「ユーザーフィードバック → 改善案 → 実装」を新しいセッションで回すことで、継続的な改善が実現できます。


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参考ソース